Title(英語・日本語)
Effects of Foot Strike Techniques on Running Biomechanics: A Systematic Review and Meta-analysis
足部着地技術がランニングバイオメカニクスに与える影響:システマティックレビューとメタアナリシス
Journal Name & Publication Year(雑誌名・出版年)
Sports Health, 2021年1–2月号(Vol.13, No.1)
First and Last Authors(第一著者と最後の著者)
Yilin Xu, Hui Zhou
First Affiliations(第一所属)
Sports Biomechanics Laboratory, Jiangsu Research Institute of Sports Science, Nanjing, Jiangsu, China
Abstract(要旨)
ランニングは非常に人気のある身体活動であり、ランニング関連の怪我(RRI)も多い。足部の接地パターンは、RRIに関連するバイオメカニカルな変数に影響を及ぼすとされている。本研究では、足部接地技術がランニング時のバイオメカニクスに及ぼす影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。FFS(前足部接地)はRFS(後足部接地)と比較して、衝撃力の大きさ(SMD = −1.84, p<0.001)、衝撃力の平均およびピークのローディングレート、足関節剛性、膝伸展モーメント、膝の偏心パワー、負の仕事量、膝蓋大腿関節(PFJ)ストレスを有意に低下させた。一方で、FFSは足関節底屈モーメント、偏心パワー、負の仕事量、軸方向接触力を有意に増加させた。結果として、RFSは膝関節やPFJに高いバイオメカニカル負荷を、FFSは足関節およびアキレス腱に高い負荷を与えることが示された。
Background(背景)
RRIは発生率が19.4%〜79.3%と高く、特に過負荷によるものが多い。バイオメカニクス的な要因、特に地面からの衝撃力の大きさやローディングレートがRRIの発症に関係するとされている。着地技術(RFS vs FFS)はこれらの衝撃に影響を及ぼすことが示唆されており、再教育によるフォーム改善が症状緩和につながる例も報告されている。
Methods(方法)
Web of Science, PubMed, EMBASE, EBSCOの4つのデータベースを用いて、2018年11月までの関連文献を検索。合計723件の論文のうち、基準を満たした26件(参加者数:472名)を分析対象とした。偏差値、標準偏差、サンプルサイズを抽出し、FFSとRFSのバイオメカニクス指標についてランダム効果モデルでSMD(標準化平均差)を算出した。
Results(結果)
- 衝撃力関連:FFSは、ピーク衝撃力(SMD=−1.84)、平均(SMD=−2.1)およびピーク(SMD=−1.77)のローディングレートがRFSより有意に低かった(すべてp<0.001)。
- 足関節:FFSは、より底屈した角度での初期接地、関節可動域の増加、剛性の低下が見られた。
- 膝関節:FFSは膝の伸展モーメント、偏心パワー、負の仕事量、PFJストレス(ピーク・積分)のすべてでRFSより有意に低値。
- 足関節への負荷:FFSは足関節の偏心パワー(SMD=1.63)、負の仕事量(SMD=2.60)、軸方向接触力(SMD=1.26)を増加させた。
- 股関節:股関節の大部分の力学的指標には有意差なし。ただし、屈曲可動域のみFFSで有意に低下(P=0.04)。
Discussion(考察)
FFSでは衝撃力を吸収するために足関節の動きが大きくなり、膝やPFJへの負荷が軽減される。しかし、その代償として足関節およびアキレス腱(AT)への負荷が増大する。逆に、RFSは膝関節への力学的負荷が高まり、PFJ痛のリスクが高まる可能性がある。足部の接地パターンは、体のさまざまな部位にかかるバイオメカニカル負荷を変化させ、特定の怪我のリスクを高めたり軽減したりする要因となる。
Novelty compared to previous studies(先行研究との新規性)
先行研究では、靴の有無や地形の違いが混在しており、バイアスが含まれていた可能性がある。本研究では、足部接地パターンとシューズの有無との交互作用などの交絡因子を排除し、足部着地の違いによる影響を独立に検討している点が新しい。
Limitations(限界)
- 全ての研究が中程度のバイアスリスクに分類されている。
- シミュレーションや短期間の実験が主で、長期的な怪我の発症との直接的関連は検証されていない。
- 自然なストライクパターンの違いを強制的に変化させた場合の影響については、限定的なデータしか含まれていない。
Potential Applications(応用可能性)
ランニング障害予防のためのフォーム修正やトレーニング指導において、個々の足部接地パターンに応じたアプローチが可能となる。特に、膝障害を抱えるランナーにはFFSが推奨される可能性がある一方で、アキレス腱に不安がある場合には注意が必要となる。