Immediate and long-term effects of zero-drop running shoes on lower extremity biomechanics; ゼロドロップランニングシューズが下肢バイオメカニクスに与える即時的および長期的影響
📖 ジャーナル名 & 発行年
Frontiers in Bioengineering and Biotechnology, 2025年
👨🔬 著者 (First & Last)
Zimeng Liu, Quanshou Zeng
🏢 第一所属機関
School of Sport Science, Beijing Sport University, Beijing, China
📜 Abstract (要旨)
本研究は、ゼロドロップランニングシューズが下肢関節のバイオメカニクスに与える即時的および長期的な影響を調査することを目的とした。7名の男性ランナーを対象に、ゼロドロップ(0mm)および15mmドロップのランニングシューズを用いて、ランニング時のキネマティクスおよびキネティクスデータを収集した。即時試験と8週間のゼロドロップシューズ着用後の試験を比較した結果、以下の変化が見られた:
- フットストライクインデックス(SI)の増加(ゼロドロップ: p=0.021、15mmドロップ: p=0.049)
- 足関節および股関節の負の仕事量の増加(15mmドロップ: p=0.018、ゼロドロップ: p=0.004)
- 中足趾節関節(MTP関節)の負の仕事量の減少(ゼロドロップ: p=0.029、15mmドロップ: p=0.028)
これらの結果から、ゼロドロップランニングシューズはフォアフットストライクパターンを促進し、下肢関節の仕事量の分布に影響を与えることが示唆された。
🎯 Background (背景)
ランニングは世界的に人気のあるスポーツであるが、ランニングによる怪我のリスクも重要な課題である。研究によると、ランニングによる怪我の70〜80%はオーバーユースによるものであり、膝、足首、足部が最も一般的な負傷部位である。ランニングシューズの設計、特にヒール・トゥ・ドロップ(HTD)の違いが下肢のバイオメカニクスに影響を与えることが知られている。本研究では、ゼロドロップシューズがランナーのバイオメカニクスと怪我のリスクにどのような影響を及ぼすのかを検討した。
🧪 Methods (方法)
対象者:
- 7名の男性ランナー(平均身長: 1.74±0.03m、体重: 62.5±3.1kg、BMI: 20.6±0.7kg/m²)
- 週30km以上のランニング習慣を持ち、VO2maxが50mL/kg/min以上であること
- 直近6ヶ月間に下肢の怪我がないこと
実験プロトコル:
- 即時試験(プレテスト)
- ゼロドロップおよび15mmドロップシューズを履き、13±0.65km/hの速度でランニング
- 8週間のゼロドロップシューズ着用介入
- 週30kmのランニングをゼロドロップシューズで実施
- 介入後試験(ポストテスト)
- 即時試験と同じ条件でランニングを実施し、バイオメカニクスを測定
データ収集・解析:
- 3Dモーションキャプチャシステム(Qualisys Arqus 12, 200Hz, スウェーデン)
- フォースプレート(Kistler 9287C, 1000Hz, スイス)
- 統計解析: SPSS 26.0(対応のあるt検定)
📊 Results (結果)
1. フットストライクパターン
- 即時試験: ゼロドロップシューズは15mmドロップシューズと比較して有意な違いなし
- 8週間後: SIが有意に増加(ゼロドロップ: p=0.021、15mmドロップ: p=0.049)、よりフォアフット着地の傾向
2. 関節仕事量の変化
- 股関節の負の仕事量増加(ゼロドロップ: p=0.004、15mmドロップ: p=0.009)
- 足関節の負の仕事量減少(15mmドロップ: p=0.018)
- MTP関節の負の仕事量減少(ゼロドロップ: p=0.029、15mmドロップ: p=0.028)
3. 膝蓋大腿関節(PFJ)ストレス
- 即時試験: ゼロドロップは15mmドロップより13%低いPFJストレス(p=0.011)
- 8週間後: PFJストレスが有意に増加(ゼロドロップ: p=0.011、15mmドロップ: p=0.004)
💬 Discussion (考察)
ゼロドロップシューズは、短期的には膝関節の負担を軽減するが、長期的にはPFJストレスが増加する可能性がある。これは、フォアフットストライクへの適応によるものであり、股関節や足関節の負担が増大する可能性が示唆された。特に、足首の筋力が低いランナーには適さない可能性がある。
🚀 Novelty compared to previous studies (これまでの研究との差別化点)
- ゼロドロップシューズの長期適応効果を調査した初の研究
- フォアフットストライクへの移行が関節仕事量とストレスに及ぼす影響を明確化
⚠️ Limitations (限界)
- 被験者数が7名と少ない
- 走行速度を一定に保ったため、異なる速度での影響を評価できていない
- 筋力測定を行っていないため、関節ストレスの変化のメカニズムが不明
🎯 Potential Applications (応用の可能性)
- ゼロドロップシューズの設計改善(特にPFJストレス軽減)
- フォアフットストライクへの適応を考慮したトレーニングプログラムの開発
- シューズ選択に関するランニング指導の指針提供